共感力と同じくらい大切な傾聴力

傾聴力は、介護職にとって共感力と同様に重要なスキルです。傾聴力とは、相手の言葉に真剣に耳を傾け、その真意を理解しようとするスキルを指します。介護の現場では、身体の不調や精神的な不安を抱えている利用者が、その状態を我慢したり、うまく言葉で伝えられなかったりするケースが多くあります。そのような状況でも、介護職は傾聴力を発揮し、利用者の声に耳を傾けることが求められます。

介護施設では、様々な理由から、不調を訴えない利用者も少なくありません。遠慮や我慢強さから、体調が悪くても「大丈夫」と言ってしまったり、認知症によって自分の状態を正確に伝えられなかったりするケースがあるのです。
また、伝えたいことがあっても言葉にするのが難しかったり、うまく表現できなかったりする利用者もいます。このような場合、介護職は、言葉以外のサインにも注意を払う必要があります。
表情の変化、仕草、声のトーン、視線など、言葉以外のコミュニケーション手段から、利用者の真意を読み取ろうとすることが大切です。些細な変化も見逃さず、丁寧に観察することで、言葉では伝えきれない気持ちやニーズに気づけるようになるでしょう。
傾聴力を高めるためには、意識的に相手の言葉に集中し、相手の立場に立って理解しようと努めることが重要です。また、相槌を打ったり、質問をしたりすることで、相手が話しやすい雰囲気を作ることも大切です。傾聴は、信頼関係を築き、より良い介護サービスを提供するための基盤となります。